一般的に、景気が悪くなると採用を控えたり、研修費を削減したりします。
社員一人を採用すると、採用時の費用を含め、それなりの費用がかかります。
景気が良い時は、費用をかけてでも社員を採用します。
そして、採用後の人件費も見込んだうえで、売上や利益を計画し、その計画にもとづき企業活動をしていきます。
また、その計画には、新たに採用した社員や既存の社員に対する教育費用も見込んだ上で、社員教育の計画を立て、その計画に合わせて実行し、会社目標の達成につながるようにします。
景気後退による教育費や採用費の削減
しかし、研修にもそれなりに費用がかかります。
集合研修の場合、会場費や外部の講師に依頼する場合には研修講師に係わる費用、
そして遠方から社員を呼び寄せる場合には、旅費交通費などそれなりの費用がかかります。
会社としては、費用をかけても、それを将来の投資と考え、社員を育成したいのです。
将来、能力が向上した社員が会社の一線で働き、会社に利益をもたらすことを会社は期待するのです。
でも、一旦景気が悪くなり、予想した売上や利益に到達する見込みが立たなくなると、会社は採用や研修関連の費用を含め、多額の費用を要するものを削減しようとするのです。
こうすることで、直接的には、コストを抑えることができます。売上が減っても、なんとか利益は確保できます。
(戦略的な経費削減については、弊社ブログ『戦略的に経費削減を行い安定した企業運営を図る』をご参照ください。)
ところが、残念なことに、引き続き、翌年も景気が悪く、売上や利益が目標に届かないと判断すると、その年も研修や採用を控えます。
それで、数年後に景気が回復し、増収増益が見込まれそうになると、ようやく採用や研修を再開します。
ところが、社員を採用しようとしても、他の会社も同じように考えており、なかなか採用できません。
(採用の外注化による中途採用者の早期戦力化については、弊社ブログ『採用業務を外注化し中途採用者の早期戦力化を図る』をご参照ください。)
しかも、数年間採用を控えていたため、平均年齢が上がり、組織体力も衰えが生じます。
技術的なものなどの伝承がうまく進みません。
一方、研修についても、かつて依頼した研修会社の講師は、すでにスケジュールが埋まっており、新たに研修会社を探す必要がでてきます。
だいぶ前に実施した研修の効果も薄れております。
景気の波に左右されない研修や採用活動
このように、一時期の景気に左右され、計画を頓挫させるとそれなりの影響が生じます。
こうしたことを避けるためにも、毎年、必要な人員を採用し、研修を実施していくことが望まれます。
もちろん、小さな会社では、毎年社員を採用する必要がないかもしれません。
退職者の補充で充分という会社もあるでしょう。
そのような会社は採用にあまり力を入れなくてもよいでしょう。それでも研修は続けた方がよいでしょう。
また、一般に不況時のときほど、他の企業が採用を控えるため、良い社員を採用することができると言われております。
ですので、少数でも毎年採用しようと考えている会社では、不況時であっても採用は継続したいところです。とはいっても、不況時に採用や研修に係わる費用の捻出は大変です。
そのような場合、パートタイム社員など非正規社員を正社員に登用することも一つの方法です。
非正規社員はすでに業務を理解しており、新たに入社する社員のように業務を教える必要もありません。
しかもパート社員のままだと、契約満了と同時に退職する心配もあります。正社員に登用することで、安心して仕事を任せられます。
(非正規社員の正社員化については、弊社ブログ『非正規社員を戦略的に正社員化する』をご参照ください。)
一方で、不況時の費用捻出については、長期的な切り口で計画を立てることが大切です。
例えば、5年といったような長期の切り口では、研修や採用は、中長期経営計画の中に組み入れます。
そして、採用については、増員幅を大きくせず、景気の波に左右されないように、一定の幅で数字を決め、費用もなだらかにしていきます。
大きく景気が変動するのであれば、問題ですが、そうでなければ、通常の利益が出る範囲で対応させます。
また、研修についても、同様に費用にあてがう額をあらかじめ設定し、
5年などの長期の区切りに対する計画を立て、その範囲で費用を捻出させます。あとは上記で説明したように進めます。
作業としては、結構細かくなってしまいますが、現実的な要素を取り入れて進めますので、取り入れたいところではあります。
新たに入社する社員の人件費や研修に要する費用は、将来に対する投資という観点で進めることが必要です。
(効果的な研修の実施については、弊社ブログ『研修の成果が出るようにするための取組』をご参照ください。)
まとめ
景気が悪くなると、研修費や採用費といた費用が削減されるケースが多くあります。
こうした費用は、本来であれば、削りたくない費用です。
例えば採用費用であれば、採用する人数を景気に関わらず少なめに一定した計画を立て、それを実行していきます。
不況の時ほど、いい人材が採用できる可能性がありますので、継続採用がのぞまれるところです。