社員のメンタルヘルに組織的に対処する

B!

社員の人たちは、自分たちの持ち場で、自分の責任の範囲で業務を行っています。

中には、努力して、なんとか業務を完結させようとする人もおります。

しかし、その努力が空回りし、労力を費やした割には、全く成果が出ない人もいるでしょう。

本人の責任感が強いあまり、空回りしてしまうのですね。

 

仕事上でうまくいかない人

ただ、このような人に対して、やり方や進め方、ちょっとした改善策などをアドバイスすることで、目覚ましい成果が出ることがあります。

もちろん、自ら工夫して、仕事の仕方を変えたり、誰かに相談したりすることで、壁を打ち破り、努力を成果に結びつける人もおります。

 

このような優秀な人ばかりではありません。

中には、上司や先輩のアドバイスをもとに、何とかして業務を全うし成果を出そうと、無理をする人もおります。

しかし、その結果、健康を害してしまう場合もあります。

 

近年、肉体的だけでなく、精神的に健康を害する人の割合が増えているようです。

増えているというよりも、昔からそのようなことがあっても、表面に出てこなかっただけかもしれません。

 

時間が経つにつれ、人の考え方や価値観も変わってきます。

会社に内在している古い文化のまま、昔からの手法で仕事を進めても、うまくいかず、壁にぶつかってしまうこともあります。

 

そして、すべてがうまくいかないと思い込んだり、一つのことで失敗し、それを悩んだりして、精神的に参ってしまいます。

 

更にそれに油を注ぐように、上司からの叱咤激励があると、余計に落ち込んでしまうのです。

 

その結果、精神的にダメージを受け、メンタルの病に陥ってしまいます。

このような人は意外に多いのかもしれません。

 

厚生労働省が推奨するメンタルヘルスケア

ところで、厚生労働省では、メンタルヘルスケアとして4つの方法を推奨しています。

1つ目は、セルフケアです。

社員がストレスやメンタルヘルスというものを正しく理解し、自らストレスに気付き、自分で対応していくというものです。

管理監督者にとっても重要であるので、管理監督者も含まれるべきとしております。

 

2つ目は、ラインによるケアです。

主に部署の管理職による対応となります。職場の環境を把握し、問題点の改善を図ります。

社員からの相談を受けたり、療養後の復帰の支援を行ったりします。

また、部下の言動の普段との違いを把握し、話を聞き、適切な情報を提供するとともに、

状況に応じて産業医や外部の医療機関などの受診を促すことも行う、としております。

 

3つ目が、事業場内産業保健スタッフ等によるケアです。

これは、産業医や衛生管理者等が考えられます。小規模な企業の場合、社員の健康管理を担当する社員がその代わりをすることになるのでしょう。

メンタルヘルス研修の企画や、対象者の個人情報管理の厳格化、健保組合や労働衛生コンサルタントといった外部機関とのネットワークの構築、メンタルでの療養中の社員の職場復帰支援などが主な内容です。

 

そして4つ目が、事業場外資源によるケアです。

事業場外資源とは、健保組合や労働衛生コンサルタント、心療内科など、外部の専門的な機関を指します。

内容は、会社がそのような機関を利用し、情報提供や助言であったり、社員の職場復帰における支援を受けたりすることなどです。

 

以上が、厚生労働省が進めるメンタルヘルスの職場での対応です。

必要と思われることが網羅されており、このしたことを実施していけば、職場のメンタルヘルスを進めることができるのでしょう。

 

しかし、これらを実施するには、対応する社員が必要となります。

そしてその社員がある程度の専門的知識を有し、それをもとに実施していかなければなりません。

さらに、コストもかかります。

 

資金的にも人的にも対応できる規模の企業であれば、運営に問題はないでしょう。

 

中小企業におけるメンタルヘルスケアの対応

しかし、中小企業では、なかなか厚生労働省のガイドラインどおりに進めることは難しいでしょう。

 

仮に実施するとしても、時間をかけて一つひとつ進めるしかないのでしょう。

これでは、何から手を付けるか検討する前に、メンタルの社員が生じ、対応が後手に回ってしまいます。

 

それよりも、会社の中に潜んでいるハラスメント的な文化や前向きな考えに対して否定するような文化を変えるよう努力することが先でしょう。

 

例えば、会社が積極的に現場の社員の意見などを、聞けるような仕組みを作るなどして、少しでも変化をもたらすよう努力します。

 

社員は、会社が動くことで、会社が何かをしているということを期待します。

いままでの雰囲気を変えてくれるのではないか、と期待するのです。

それだけでも、社員がメンタル的な不調に陥ることを、だいぶ防ぐことができます。

 

そして、社員の意見を吸い上げると共に、会社の考えを社員に理解してもらい、価値観を共有することで、少しずつ組織が前向きになってきます。

このような努力が会社の成長につながるのです。

(価値観の共有については、弊社ブログ『社員と価値観を共有し距離を縮める』をご参照ください。)

 

自社の中に存在しているマイナスの部分を注視し、文化を変えていく努力をすることで、

メンタルヘルスの改善につながるようにすることのほうが現実的でしょう。

 

時間やコストをあまりかけることはできません。

まして社長一人でできることでもありません。職場の管理職の協力を得ながら進めていくことになります。

(職場環境については、弊社ブログ『職場環境を整備し社員が働きやすくする』をご参照ください。)

 

まとめ

特定の人に仕事を集中させたり、叱咤激励で極度に責任を感じさせるようにしたりすると、

精神のバランスを欠いてメンタルの病にかかるケースがあります。

社員がメンタルの病にかかると本人だけでなく、その部署にも影響を及ぼします。

厚生労働省の指針を利用し、社員に説明することで、多少はそうした事態に陥ることが減るかもしれません。

まして、中小企業の場合、人的にもそのような余裕がありません。会社が主導して計画的に進めます。少しずつ、社員の気持ちを和らげていくのです。

 

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