介護を行う社員を適切に処遇し組織力を維持する

B!

現在ほど高齢化社会になった時代もありません。

昔は、日本社会の人口構成もピラミッド型で、世の中も若い人が多く、高齢者もあまりおりませんでした。

企業でも社員は若い人が多く、高齢者の介護を必要とする社員もあまりおりませんでした。

従って、企業としてもそのような心配をする必要もありません。

社員が家族を介護するという事例は、ないことはないのでしょうけれど、少ない時代でした。

 

介護休業が一般化されるまで

しかし、次第に社員の年齢も上がり、社員の家族も次第に高齢になっていきます。

いよいよ高齢者に対する介護も本格的になってきました。

 

国も、法律を作り、そして何度も改定を繰り返しながら、企業に介護を行う社員に対する処遇を定めるよう求めてきました。

しかし、法律に則っただけでは十分とはいえないでしょう。

 

企業でも、最初はあまり対象者がいないということもあり、

こうしたことに関して、力をいれてきませんでした。

 

しかし、少しずつ、対象者が増加し、また世間でもこうした問題を取り上げるようになってきましたので、企業も真剣に向き合わざるを得なくなってきました。

 

突然社員が介護休業をしたいと申し出ても、企業としてどう対応したらよいかわかりません。

中小企業の場合特にそうしてことがいえます。

もちろん法律どおりに対応すればよいのかもしれません。

しかし、法律通りに進めるとしても、その法律を十分理解していないと、いざというときに対応できないかもしれません。

 

やはり、大切なことは、対象者が生じてから対応するのではなく、時間に余裕があるときに、そうした対応の仕方について仕組みなり手順書なりを作って対策を考えておくことが大切なのです。

 

ところが、日々忙しく働いていると、緊急でない仕事は後に回したいと考えます。

ただ、忙しいといっても、どこかのタイミングでやや余裕が生じることもあるものです。

その機会を逃さず、今後必要とされる事柄について、優先順位をつけて実行するのです。

 

こうしたことは、介護に関する業務だけでなく、他の業務でも同じことが言えます。(詳しくは弊社ブログ『時間外労働や休日労働を効果的に削減する』をご参照ください。)

 

とにかく、対象者がいなくても、状況によって、対応できるよう事前に作っておくことは必要です。

 

介護休業に関する仕組みを作る

ではどのように仕組みを作り介護休業に対する対策をすればよいのでしょうか。

いくつかの切り口からその糸口を考えてみましょう。

対象者の側から見た場合と会社側から見た場合の2つの切り口で考えてみます。

 

まず、対象となる社員の側から考えると、一定期間休むことは、法律でも認められておりますが、給与の支払いがありません。

そのため、生活に支障をきたしてしまうことになります。

 

さらに、介護が自分の親である場合、長期にわたると想定されますので、その場合、退職も視野に入れて考えてしまいます。

しかし、親が年金給付を受けている場合、多少は生活に安心感があるでしょう。

ただし、医療費などがかさむことも想定されます。そうしますと、金銭面での悩みが大きくなります。

 

一方で、介護施設にお願いする方法もありますが、施設が満杯の場合、空きが生じるのを待つことになります。

 

次に会社側から見てみましょう。

どのような不利益が生じるのでしょうか。

まず、対象となる社員が長期で不在となるため、業務に支障をきたしてしまいます。

それでも短期間であれば、部署内のほかの社員で、なんとか対応できます。

しかし、長い期間となりますと、ほかの社員に任せておくこともできません。体力的にも精神的にも疲弊してしまいます。

業務内容によっては、一時的に外部から人をお願いして対応することもできるでしょう。たとえば派遣社員などでまかなうこともできます。更に、その一部の業務を外注する方法もあるでしょう。

これで、ある程度業務を回すことができます。

そして、その対象者が職場復帰した場合、スムーズに業務引継ぎができればよいのですが、多少時間がかかってしまうような懸念もあります。

 

会社側の考えと対象者本人の要望の接点

このように該当者本人と会社側双方の切り口で確認すると、それぞれの懸念は全く別のものになります。

従って、双方の折り合いがつくような点を見出し、対応策を検討することになります。

 

介護を受ける人が軽度であれば、対象となる社員の職種換えや勤務時間の短縮などが考えられるでしょう。

施設の空き待ちであれば、休業の期間を仮で設定し、延びる場合延長などして対応できます。

 

しかし、長期にわたる場合、本人の意向を尊重し、退職もやむを得ないでしょう。

その場合でも、再度就職できる窓口は用意してもよいかもしれません。

 

このように、ある程度状況を想定した準備は余裕のあるうちに行っておくべきです。

いざというときにすぐに対応できるようにしておくことも大切です。

 

なにより、管理者が日頃から部下の人たちとコミュニケーションを十分に取りながら、事前に情報を得て、会社に報告することで、事前に様々な手を打つことができるのです。

 

まとめ

介護休業は社員本人とっても大変ですし、会社にとっても負担が増えます。

それぞれの考え方は全く異なりますので、双方の着地点を見出し、仕組みを作っていくことが大切です。

担当者は該当者が生じる前に時間をとってスケジュール化していくことが必要です。

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