適切な運用で役割等級制度の特徴を組織に活かす

役割等級制度とは、それぞれの仕事を行っているポジションをいくつかの段階に区切り、

その職務内容や責任の重さなどいくつかの項目にもとづいて、各等級に区分していきます。

ただし、社員個人ではなく、社員の属するポジションについての区分であるという点では、職務等級と類似しております。

 

役割等級制度と職務等級制度

この制度を構築する際に行う作業の中で、そのポジションに就いている社員を思い浮かべてしまいがちになります。

しかし、重点を置くのは社員ではなく、あくまでポジションです。

この点は意外に混同されやすく、間違いのもとになりますので注意が必要です。

 

一方職務等級の場合、さまざまな仕事に対して、それらを遂行するための一つひとつのポジションについて、

それぞれを明確にし、等級を決め、そのポジションに合致する人物をあてはめていきます。

 

まず仕事を遂行するためのポジションがあって、その後にその仕事を行う社員がそのポジションに就くという流れになります。

そういう点では非常に明確な仕組みということがいえます。

 

役割等級制度の設計

役割等級制度の具体的な設計についてですが、職務等級制度同様に、まずポジションを作ります。

そして作ったすべてのポジションをいくつかの等級に区分しますので、各等級に区分できるように、各等級に対する等級要件書を作成します。

 

この要件書には、それぞれの等級に求められる内容を記載します。

結構大変な作業ですが、責任や知識などいくつかの必要な項目に分け、それぞれについてできるだけ具体性を持たせ、等級による違いを分かり易く記載します。

 

次に各ポジションをそれぞれ各等級にあてはめます。この作業も結構大変です。

 

一般職を含めたすべてのポジションについて、職務記述書というものを作成します。

これは、どのような仕事を行い、組織上の上司はどの職位になり、そしてそのポジションに就くには、どのようなスキルが必要かなどということを、明確に記載したものになります。

 

また、それらのポジションを記載した組織図も合わせて用意します。

これらの資料をもとに全ポジションを等級にあてはめます。

ここは時間をかけて慎重に行います。あてはめるのは各社員ではなく、ポジションです。この時点ではまだ社員はあてはめません。

 

その後、等級別組織別の形の一覧表を作成し、どのような形になっているのかを確認します。

自分の想定したとおりになっていることもあるでしょうし、等級にかたよりがあるなど想定していないこともあるでしょう。

そして、最後にそれぞれのポジションに社員をあてはめるのです。

 

このように作業をしていくと、組織上の問題点が浮かび上がることもあります。

見つかった問題点は一つひとつ解決していき、制度を完成させます。

(自社に合った等級制度の導入については、弊社ブログ『等級制度を理解し自社に合った仕組みを導入する』をご参照ください。)

 

例外対応

等級格付けされたポジションが、そのポジションに就いている人の能力に比して、低く格付けされているなどといったケースもあるでしょう。

そのような場合、そのポジションの職務内容を難しくし、上位等級のレベルに引き上げるということも可能です。

また、一定期間様子をみてその人を別のポジションに異動させるということもできます。

当該部門の部門長と確認しながらふさわしい方法を見出すことが大切です。

 

スタートした当初は運用に幅を持たせ、期初に生じた問題点を都度解決しながら一定期間経過をみて制度を実態に調整し、自社に合った形に仕上げていきます。

 

等級制度については、弊社ホームページ『等級制度』のページをご参照ください。

 

まとめ

役割等級制度は職務を基準とするという点では、職務等級制度と似ております。

しかし、運用を考えた場合、役割等級制度のほうがまだ運用しやすいと思われます。

どれが良くてどれが悪いというものではありません。制度の特徴と会社の環境や文化等を勘案して検討するのがよいでしょう。

 

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