労働安全衛生法では、従業員数をベースとして企業規模に応じて、安全管理者、衛生管理者や産業医などを配置するようになっております。
そして、ここではあまり細かくは記載しませんが、
安全委員会、衛生委員会などを開催し、記録を3年間保存するということになっています。
これらは、危険物を取り扱う工場や、特殊な重機などを使用したり、
危険な個所で業務をおこなったりする現場などが中心となります。
事務部門における安全衛生管理
この労働安全衛生法等に直接係わる業務を行うところでは、
法律に従うだけでなく、現場に合わせて、しっかりとした安全対策を講じ、事故が起こらないようにしております。
それでもまれに事故が起こることがあります。
企業にとって安全衛生管理はいかに重要であり運営が大変なのです。
ところが、安全衛生といっても、サービス業や製造業でも経理など現場でない部門のように、
直接危険物や危険な作業を伴うことの少ない部門では関心が薄く、あまり話題にも上がらりません。
それでも法律は、状況に応じ程度の差はありますが、広く適用されます。
たとえば、従業員数が50名を超える職場では、衛生管理者や産業医を選任しなければならないことになっております。
これは危険度の少ない事務部門でも適用されるのです。
このように、社員数に応じて、対応しなければならないという話は、法律にはあり得ることです。
自分のところは直接かかわるところが少ないので、法律に従って形だけととのえればよいという考えもありうるでしょう。
ただでさえ忙しいのに余分な業務が増えてしまうと思ってしまうのです。
しかも本業も十分こなせていないのに、新しい仕事はできるわけがないと考えてしまいます。こうした考えは分からないわけではありません。
労働安全衛生法の積極的な利用
しかし、せっかく法律に対応するのですから、ここは仕方なしに法に従うのではなく、逆に法律を利用するという方法もあります。
最近ではメンタルヘルスが叫ばれ、事業所の従業員数が50名以上の場合、ストレスチェックを行う義務が生じております。
メンタルヘルスは放置しておくと後々大変な思いをすることになります。
社員が長期に離脱したり、出勤と欠勤を繰り返したりなど、
戦力としてカウントできなくなるだけでなく、部署内の周りの社員にも影響を及ぼします。
それから健康診断も会社は実施しなければならないことになっております。
社員に対する安全衛生面からも大切な施策です。
しかし、会社が健康診断を手配しても、受診しない社員が結構おります。
健康診断を受けない人たちの多くは、仕事が忙しいということを理由にしております。
ところが、実際には受診結果で再検査など、悪いところが見つかるのを嫌がっているのです。
本来健康診断は毎年受診し、数値を把握することで、
身体の悪いところを早期に発見し、再検査などの対応がその目的なのです。
しかし、それを避けてしまっては、本来の目的が達成できません。
病気が悪化してから治療するのではなく、早期に発見し日頃の生活を改善したりして対応し、予防することができるのです。
会社にとっても働き盛りの社員が長期療養に陥ってしまいますと、様々な面で損失が生じます。
そうならないように事前に手段を講じておくことが必要なのです。
安全衛生管理の面からの社員の管理
そのような面でも、ストレスチェックや健康診断結果を産業医と共有し、
日頃から社員の心身のケアに気を付けることで、リスクを避けることができます。
建前上は、社員が常に自分を健康な状態に保ち、日常業務をスムーズに行えるようにしておくということが前提です。
これは建前であって、実際には、社員は自分の健康管理に注意をするわけではありません。
病気が進行して初めて自分の健康に気を遣うのです。
したがって、ある程度会社も関与し、社員が日頃から心身の健康に注意するよう何かしらの方法で啓蒙していくことが大切です。
社員の健康管理については、弊社ブログ『社員の健康管理に取り組み会社リスクの軽減を図る』をご参照ください。
サービス業や製造業の事務部門であれば、業務上の危険は少ないでしょう。
外傷そのものは少ないと思いますが、上記でお話ししましたように、
メンタルや身体の病気などが想定されますが、これらが表面化すると、間接的に会社が影響を受けます。
ですので、社員に対する安全衛生を、日常の中にどのように取り入れるかについて、
会社として日頃から考え、事前に対応策まで検討しておくことが求められます。
そすることで、様々な面での組織の問題を減らすことができるのです。
まとめ
工場などの現場のない会社や事務部門の人たちからすると、安全衛生管理は興味がない分野で、遠い世界の話のように感じられます。
しかし、これを積極的に受け入れ、社員の管理を図ります。
メンタルや身体の病で長期的に療養すると、会社にとっても損失が大きくなります。そのような面でも、前向きに利用したいところです。