人事制度を構築しようと思えば、自分たちだけでもなんとか作ることはできます。
コンサルタントに依頼した場合には更にしっかりした形になるでしょう。
人事制度を構築することで、経営者としては、必要とされるものの一つは出来上がったと思うかもしれません。
ただし、社員だけで人事制度を構築した場合でも、コンサルタントに依頼した場合でも、それなりに時間とコストはかかるものです。
人事制度運用の担い手
せっかく時間とコストをかけて人事制度を構築しても、その後の運用を人事部あるいは会社によっては総務部の担当者だけにまかせでいていると、
その後うまく機能しなくなってしまうこともあります。現場の管理者が評価制度の運用の担い手になります。
しかし、現場の管理者は、日々の仕事に追われ、そこまで手が回らないのが実情です。
彼らの中には、自分たち管理者が評価制度を運用するという認識を持っていない人も多くおります。
これはある意味やむを得ないことでもあります。
日々の仕事に追われ、しかも何かトラブルがあったりすると、他のことに関わっている時間はなく、目の前のトラブル解決に全力を注ぎます。
でも、これでいいわけではありません。
人事制度を導入すると、管理者向けに評価者研修を実施し、評価や人事制度について詳しく説明します。
その時点で理解しますが、現場に戻ると日々の仕事に追われ、研修で受けたことはすっかり忘れてしまいます。
もちろん、そうでない人もおります。
現場に持ち帰って、習ったことをしっかり現場に浸透させる管理者もおります。
結局、人によることになります。
さらに人事部あるいは総務部の担当者も自分の仕事を数多く抱えており、本腰を入れて人事制度を運用するというところまではいきません。
このまま放置しておくと、せっかく時間とコストをかけて構築した人事制度がうまく機能しません。
人事制度運用を見過ごした結果
もちろんこうしたことは、会社によって異なりますし、管理者個人によっても異なりますので、すべてに当てはめるわけではありません。
でもこのようなケースは意外に多いのではないでしょうか。
現場での管理者は、じっくりと時間をかけて部下の評価や育成を手掛ける時間もありませんし、目の前の仕事をこなすだけで手一杯です。
このままだと、せっかく立派な人事制度を構築しても、形だけのものになってしまいます。
そして社員からそのように思われてしまい、不満の温床となってしまう危険性もあります。
そうなる前に手を打つ必要があるのです。というよりも、設計の段階で導入後を見据えた設計が必要だったのです。
人事施度の運用
海外の企業では、人事部の人たちが、それぞれ各部門の部門長と一緒に、その部門に所属する社員の人事関連業務を行うような形態が増えております。
たとえば、評価については、評価制度に対する会社の方針に従って、当該部門に適切に行われるようにサポートしますし、
社員の育成に関しても、必要とされる訓練等を現場の管理者とともに計画および実施していくなど、各部門の現場を中心に活動します。
日本の企業はそこまで行うことはないでしょうが、すこしでも現場の状況を理解したうえで部門長とともに現場に関わっていくことが大切です。
現場では、営業であれば、販売予算の達成といったように、本業が中心となりますので、評価など人事制度の運用は後回しになりがちです。
そこを人事部あるいは総務部がうまくサポートすることにより機能させていくべきなのです。
社員数の少ない会社であれば、人事担当者は比較的行動しやすいかもしれません。
しかし人事担当が忙しく、手が回らないことも多いことでしょう。
その場合、一定期間、パートや派遣社員など臨時社員を雇い、定型業務をその人に依頼し、人事担当はできるだけ現場の管理者のサポート役に回るようにします。
人事制度の運用に重点を置いた活動で、人事制度がうまく機能し、部署の業績そして会社の業績に何かしらの形で貢献できるようにしていくことは可能です。
経営者はこうしたことにコストがかかり、無駄であると思われるかもしれません。
しかし、長い目で見た場合、このような経費は回収できます。むしろ投資といったほうがいいかもしれません。
人事担当が現場をサポートすることで、次第に人事制度運用が順調に進められるようになります。
そして社員の人事制度に対する理解も得られ、社員は安心して本業に専念することができるようになります。
(自社に適した人事制度の導入については、弊社ブログ『自社に適した人事制度を導入するために必要なこと』をご参照ください。)
会社業績と人事制度
会社は、売り上げおよび利益をどのようにして確保していくかが重要です。
現場の社員がそれぞれの持ち場でしっかりと本業をこなすことで、各部門が機能し、会社の売り上げや利益につながっていきます。
そのためにも現場に即した人事制度である必要があるわけです。
人事担当は現場の管理者と共に活動することで、運営がより現実的なものになります。
(目的に合った人事制度については弊社ブログ『目的に合った人事制度を構築し組織の成長を図る』をご参照ください。)
このように人事制度は決して会社の方針から離れた存在ではなく、現場に即したものである必要があるわけです。
(人事制度については、弊社ホームページ『人事制度構築』のページをご参照ください。)
まとめ
時間と経費をかけて人事制度を導入するのですから、運用から定着まで見越した設計が大切です。
そして、現場の管理者のみならず、人事部門の担当者も現場の管理者と一緒に人事制度が機能するよう勧めていくことが必要です。
それは、会社の業績にも影響するからです。