基本給の改定を人件費の観点から検討する

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会社で働き、給与を受け取る場合、一般的にほとんどの企業では、毎月25日とか20日のように、1か月に1回決まった日に、月給として支払うようにしております。

もちろん、これは労働基準法における規定にもとづいております。

 

給与は労働に対する対価といわれておりますが、現在は銀行振り込みが一般的であり、給与に対する重みという点では、あまり感じません。

 

しかし、昔は、現金での支給でしたので、当時の人たちはその重みも感じていたことでしょう。

 

所定内給与と所定外給与

給与規程を制定している企業では、毎月支払われる給与を所定内給与と所定外給与と区分しています。

 

毎月、社員が会社所定の労働時間を働くことにより、定額で会社から支給される給与のことを所定内給与と一般に呼ばれます。

 

給与として社員全員に支払われる基本給のほか、所定の条件のもとで支給される役付手当や住宅手当など、毎月定額で支給される手当類も所定内給与に該当します。

 

そして時間外手当などのように金額が一定していない給与や、社員の居住地により金額が異なる通勤手当のような手当などは基準外給与と呼ばれています。

 

基本給の人件費に対する影響

また、基本給という名称は、一般的な名称ではありますが、会社によって言い方が異なることもあります。本俸といったり本給といったりさまざまです。

 

基本給は毎月給与として会社から支給されること以外に、時間外手当の計算の基礎となるなど社員に対する支給金等の計算に対する根拠となります。

 

ご存じのように、昇給は基本的にこの基本給が上がることを言います。

基本給が昇給することで、会社に対して人件費の観点で影響を与えます。

 

まず賞与の支給額に影響します。

多くの企業では、賞与を社員に支給する際に、その計算基礎に基本給を用いております。

基本給に一定の率を乗じて支給額とするようにしています。

 

もちろん、賞与を基本給から切り離して、その支給額を計算する企業も多くあります。

たとえば、等級制度を導入している会社では、等級ごとに賞与支給額の基本的な金額を決め、評価に応じて支給額に差をつけるという方法を採用している会社もあります。

 

また、基本給ではなく、年収をベースに賞与の支給額を計算する方法などもあります。

それぞれの企業で必要に応じて自社にふさわしい方法を取り入れているのです。

 

このように基本給から賞与の計算を切り離す企業が増えていることは確かです。

基本給の改定が様々なところに影響があるからです。

 

しかし、賞与計算の仕組みを変えると、中身がやや複雑になりがちで、

社員の人たちにはわかりにくくなってしまう可能性もあります。

 

また、退職金に関しても、退職時の基本給を計算のベースにしている企業もあります。基本給の改定に伴い、退職金計算にも影響します。

 

もちろん賞与支給額計算と同様に、基本給から退職金の支給額計算を切り離している会社も増えています。

 

基本給の扱い

このように、基本給はいろいろなところに影響を及ぼすため、基本給については、常に先を見越して対応する必要があります。

 

しかも、人件費にも影響しますので、予算を策定する場合にも考慮する必要があります。

そのような意味でも、基本給は会社にとっても、そして社員個人にとっても重要なものであるということがいえると思います。

 

基本給の構成は、人事制度の設計の仕方によって異なりますが、おおむね、能力や実績に基づいた仕組みとなっているようです。

 

小さな会社ではまだ給与の仕組みを制度化していない企業も多いと思います。

今までは、何ら問題もなく、運営できたのでしょう。

 

しかしながら、そうした企業でも、給与に関する問題が、程度の大きさは別としても、生じてきています。

規模小さいと社長一人で決めることが多く、会社全体を一人で見通せる規模であれば、それでもよいでしょう。

 

しかし、増収増益で、会社の規模が大きくなり、従来の社長一人で社員の給与を扱うということが、次第に無理になってくるのです。

 

どこかのタイミングで専門家のアドバイスを受け、人事制度を導入するようになるのです。

 

基本給の仕組み

基本給に対して、社員個人の業績に対する評価に基づき昇給させていくため、

社員の現在の基本給は、過去のその人の実績に対する積み重ねであるという考え方があります。

 

たとえ人事制度を導入しておらず、社長一人が個々の社員の実績を見て、基本給を決める会社でも、それなりの実績の積み重ねで現在の給与があります。

それを理解しているのは社長のみ、ということになります。そのような点でも、いずれは人事制度の導入が必要となるのです。

 

人事制度を導入することで、基本給を能力あるいは職務にもとづいた仕組みへと改正します。

能力をベースとした場合、職能等級制度を、職務をベースとした場合、職務等級制度あるいは役割等級制度を導入します。

ただし、職務をベースとして捉える場合、職務等級制度は比較的なじみにくいので、役割等級制度を検討することになります。

(役割等級制度に関して、弊社ブログ『適切な運用で役割等級制度の特徴を組織に活かす』をご参照ください。)

 

もちろん、過去の実績により現在の基本給があるのですから、考慮しなければなりません。

そして、将来的には、基本給を賞与や退職金から切り離してもよいのかもしれません。

すでに導入した人事制度の改訂を検討する時点で、課題として取り上げるとよいでしょう。

 

どこかの時点で、会社の将来的な人件費の増加を考慮しつつ、社員のモチベーションを維持する仕組みを作るという、難しい課題の解決をしなければなりません。

 

(人事制度に関して、弊社ホームページ『人事制度構築』のページをご参照ください。)

 

まとめ

基本給を賞与や退職金に連動している場合、基本給を改定するとその分賞与等に影響します。

基本給を賞与などから切り離すことで、人件費の見直しを図ることができます。

また、小規模の会社は、社長が給与を含めすべてを決定しています。どこかの時点で人事制度を導入し、客観的に基本給を決定していく仕組みを作る必要があります。

その際に賞与や退職金が基本給に連動している場合、切り離す仕組みも合わせて作ることにより、人件費の見直しを図ります。

 

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