
会社では様々な人が、それぞれいろいろな部署で働いています。中小企業の場合、おおむね会社で働く社員は、新卒ではなく中途採用で入社した人達で構成されております。
中小企業は、彼らの前職での経験を必要とし、即戦力を求めています。
過去の経験を活かし、転職先で成果を上げてもらうのです。
したがって社員一人ひとりの考え方も仕事の仕方も異なります。彼らはかつて勤めていた会社で培った考え方に基づいて物事を捉えます。
そのような意味で、中小企業においては、会社の方針を示しても、その解釈が人によって異なってしまうのです。
また、一般的に社員は会社のことでも、自分に係わることであれば関心を持ちますが、そうでなければあまり関心を持ちません。
会社の方針を伝えたとしても、その場では理解しますが、すぐに忘れてしまい、いつものように何もなかったかのように振る舞ってしまいます。
このままでは、社員のベクトルが合うことはありませんね。
その点、大企業の場合は、基本的に新規学卒が採用の中心となりますので、大半の社員が入社後に全員で同じ教育を受け、毎年同じように会社の方針や考え方を教えられ、その上で日常の仕事を行います。
会社が方針転換を図ったり、新しいことを行おうとしたりする場合でも、社員がすぐに理解でき、自分が何をすべきかその役割を理解した上で、指示を全うしようとするのです。
そのような面では、大企業は社員のベクトルが合っており、会社が方針を変えようとしても、容易にできます。
それゆえ組織の力が一つにまとまり、大きな力となって毎期利益を上げ続けていくことができるのです。
ところが中小企業では、そうはいきません。会社の方針を社員に伝えても、理解してもらえない上に、個人の意思でバラバラに行動してしまいます。
さらに会社の方針を伝えることもできないと、社員は今まで通りの行動でいいと思い込み、会社の方針とは関係なく自分勝手に動いてしまいます。
これが会社の文化であるなどと思い込んでしまうのです。
そうなると業務を遂行する上でも非効率ですね。本人たちは、何の疑問も持たず、今のままでよいと自己判断してしまいます。
現状どおりが心地よく、何か新しいことをすることに対して、拒否感があるのです。
ではどうすればいいのでしょうか。一般的には研修をしたり、勉強会を開いたりするとよいなどといわれます。
たしかにそうなのですが、大企業と異なり、中小企業ではそうはいきません。
社員を集めて研修をする時間もありませんし、やり方もわかりません。
どうしても何もしない状態になってしまうので、相変わらず社員のベクトルが合うことはありません。
それでも、人手が足りず何かを行う時間は取れない中小企業とはいえ、ある程度短い時間であれば、取れることもあると思います。
直接社長から社員にメッセージを伝える機会をつくることです。現状を説明し、将来について説明して社員の理解を得ることです。
規模の小さい企業の方が、このような機会を作ることは可能かと思われます。そのような面では、中小企業は小回りが利きます
そういうことを実施しても、まだ社員はなかなか会社の方針を理解しようとする余裕はありません。どこか遠い世界の話のように感じてしまいます。
社員の理解を得るためには、できるだけ繰り返すことが大切です。
一度だけだと、社員も思いつきの行動であろうと思いますが、繰り返すことで社員も会社が真剣に考えていると思うようになります。
また、全員が参加できるイベントなどを行うことで少しずつ会社との距離も縮まってきます。ほかのことと絡めて何かを行うことで、少しずつ会社が進もうとしていることに理解を示すようになります。
ただ言えることは、社員が行っている仕事が会社の中でどのような位置付けで、自分はどこにいるのかがわかるだけで、だいぶ違ってきます。
会社のトップだけが発信するのではなく、現場の管理者が日ごろから部下に会社の方針を伝えることも大切です。やはり現場の管理者の働きかけが一番大切なのです。
バラバラだった社員のベクトルを少しずつ合わせていくことで、組織として大きな力を発揮するようになるのです。
( 『退職防止に関するページ』を別途ご用意しましたので、ご参考までご案内します。)