人事制度は会社の人事部あるいは総務部の人事担当が中心となって進めますが、社内の各部門から代表者を募りプロジェクト形式で進める場合もあります。
社員数が多い企業だと後者のやり方で対応できますが、社員数が少ない会社の場合、各部署から社員を選出することは、容易ではありません。
人事制度構築の目的
中小企業が人事制度を構築する場合、人事部あるいは総務部が中心となって制度構築を進めることになります。
そして、構築する担当者が自分の業務に精通していても、制度構築の経験が乏しかったり、あるいはあまり知識がなかったりする場合、専門のコンサルタントに入っていただくことも多くあります。
一般に、会社が人事制度を構築しようとするときは、自社が成長基調にあり、社員の増員を計画しているケースなども考えられます。
特に中小企業の場合、社員を外部から中途採用しようとする際に、人事諸制度が整っているとPRする材料として使うこともあります。
また、現在の人事制度が自社に合わなくなっており、一新し社員のモチベーションを高めたいと考えるようなケースも想定されます。
一方、自社の商品・サービスにおけるマーケットの今後の成長があまり望めず、過当競争となっている場合に、
営業・マーケティング戦略だけでなく、人事戦略を合わせて考えるような場合などでも人事制度構築あるいは改定が想定されます。
低成長下において、自社の成長を検討する場合に、社員の成長や動機付けなども含めて考えられます。
このように各企業の事情によって、人事制度導入の目的はさまざまです。
人事制度の運用
自社の商品あるいはサービスが成熟したマーケットの中にあり、マーケットそのものが大きくならない中で会社を成長させていかなければなりません。
そのためにも人事部あるいは総務部として、人の面から経営をサポートしていく必要があります。
能力があって高成績を上げ、よい評価を得る社員を会社に引き留め、
かつ成績の振るわない低い評価の社員をどのようにして育成していくかを考える必要もあります。
限られた収入の中で、高業績を上げる社員により多く報いるのは世の中の自然の流れです。
そうした社員を他社にヘッドハンティングされないように、各企業ではいろいろな仕組みを作っています。
成果を上げた社員には、給与や賞与で報います。それ以外にもいろいろな手法で、社員の定着を試みます。
(社員の退職への対応については、『退職防止』のページをご参照ください。)
現場の実情
一方で成績が振るわない社員に対してどう対処するかという問題もあります。
本人は自分の成績に関して理解していることでしょう。
しかし自分の評価が低いのは会社が悪い、あるいは上司が悪い、と外部のせいにするかもしれません。
成績が良くない社員は、本人の能力の問題もあるかもしれませんが、この社員が主張するように、上司の関わりが少ないことに起因するかもしれません。
上司がその社員に対し何もしてこなかったため、充分に仕事をこなすことができず、成果を出すことができなかったという可能性もあります。
いずれにしても、会社としてこのままにしておくわけにはいきません。
現在は人手不足の時代でもあり、優秀な人材は簡単には採用できなくなっております。こうした点の対応は急務です。
社員によっては現在の部署に赴任し、あまり時間が経っていなくて、与えられた仕事を満足にこなすことができないという人もいるでしょう。
仕事に慣れるまである程度の時間がかかるのはやむを得ないことです。
あるいは、与えられた仕事に対し、本人の適性が合わないのかもしれません。
こうしたことは本人とじっくりと話をしてみないとわかりません。
会話が重要になってきます。仕事のやり方の教え方を変えたり、別の仕事を与えたりすることで、本人がてきぱき仕事をこなすようになるかもしれません。
(人事制度導入に当たって気を付ける点については、弊社ブログ『人事制度導入に当たって気を付けるべきこと』をご参照ください。)
社員の育成
このように、人事制度における評価制度の意義は、昇給や賞与を決めるだけでなく、社員を育成するためにあるということがいえます。
さまざまな企業で人事諸制度を導入し、運用していると思いますが、うまく運用されていないケースも多々あるのではないでしょうか。
制度の運用者は現場の管理職です。
現場の管理者がどのように運用するかで制度の良し悪しが決定されます。人事制度の運用によって、会社の業績に影響を及ぼすようになるのです。
まとめ
人事制度構築は人事部あるいは総務部が窓口となり、制度設計を進めるようになります。
どのような目的で人事制度を構築するかによって、出来上がりは大きく異なるものになります。現場の管理者の理解によって制度運用が影響されます。しっかりしたものにしたいですね。