職場で働く社員の人たちは、部署によっても異なりますが、
基本的に同じような仕事を毎月こなしております。
新しく入社したり、他部署から異動してきたりした社員にとっては、対応している業務が新しいことなので、仕事を覚え理解することで精いっぱいです。
しかし、何年もその仕事に携わってきた社員にとっては、当たり前の仕事なので、簡単にこなしてしまいます。
また何かトラブルが生じても、すぐ対応し問題なく解決することができます。
これは、経験があるからできるのです。
つまり、基本を理解しているので応用がきくということなのです。
慣れていない仕事への抵抗
そのような人たちに対して、今まで経験のないような難しい業務や手数がかかるややこしい業務を与えたらどうでしょうか。
おそらく一斉に不平不満が生じるでしょう。また、声には出さなくても、心の中ではいやだと思っているでしょう。
人は慣れている仕事を優先したり、好んで処理したりします。
というのは、慣れている仕事はその先も読めますし、結果も想定できます。したがって慣れていることをしたがるのです。
そこへ経験のない仕事が舞い込んでくると、それに対する抵抗感が生じるのです。
でも会社としては、その人たちがどのように感じようと、会社として決定したことなのです。
彼らに新しい仕事をしてもらわないと、会社が前に進むことができなくなってしまいます。
若手社員に対する業務の指導
こうしたことを和らげるには、日頃のコミュニケーションが必要です。
しかし、それ以外に定期的に教育を実施し、従来の考え方を変えてもらうことも重要なことです。
難しい仕事をしてもらう際の教育は人によって、また職位によっても異なってきます。
若い人で社歴の浅い人であれば、本人にとって難しい仕事であっても、社歴の長い先輩社員の人からすれば、ごく普通のレベルの仕事です。
その先輩社員の人たちが、若い社員に仕事を教えると、簡単なことなのになぜできないのかと、イライラしながら教えることになります。
自分は分かっているのですが、その若い社員が理解できるように説明できないのです。それでイライラしているのです。
そのイライラが高じて、場合によっては、その若手の人に対して、パワハラまがいのことをいったりしてしまうかもしれません。
経験の少ない若い社員に対する指導は、もう少し年齢の近い人のほうがよいかもしれません。
先輩社員でも若い人であれば、接しやすく、話もしやすいので、教育も比較的うまくいきます。
若い先輩社員であれば、自分が大変だったことも覚えていますし、現在の仕事がその指導すべき業務の延長にもなります。
特に若手の営業社員のように、まだ業務に慣れておらず、指導の仕方によっては、能力が向上しそれなりの成果を挙げられる社員に育てることができるかもしれません。
(営業社員の教育については、弊社ブログ『営業社員に教育を施し組織の底上げを図る』をご参照ください。)
中堅クラスの社員に対する業務の指導
また、ある程度の経験のある、戦力となっている中堅クラスの社員に対しては、
若い人に対するやり方とは異なり、細かいところまでは話をせずガイドライン程度にしておき、あとは本人に任せるような指導を行います。
一見無責任のように思われますが、ある程度の自由裁量は認め、結果を重視します。
途中困難に遭遇するでしょう。でも途中から口を出すことはせずに、最後まで本人に任せます。
本人から質問があった場合のみ指導するようにするのです。
これは、指導する側も我慢が必要です。
そうすることで、本人は実体験ができ、更に一段上の仕事をこなすことができるようになるのです。
一度難しい仕事を完成させると、本人にも励みになります。そして、自分なりのやり方も習得できます。
もちろん本人が更に難しい仕事をこなせるようになった段階で、
以前行った難しい仕事が必ずしも正しいやり方ではなかったと、後で気づくかもしれません。
でも、それはそれでいいのです。あくまで体験を通じて学ぶことが大切なのです。
こうしたやり方も含めてですが、育成をする場合において、
特に難しい仕事を指示する場合には、事前に話し合いをし、どれくらいの期間でどのようなことを実施するのか説明をしておくことが大切です。
相手のある話なので、事前に理解してもらうことが大切です。
誤解等があって、せっかく育成しようとしたことが、逆に本人にとっての足かせになってしまっては元も子もありません。
このように、部下の育成だけではなく、仕事を円滑に進めるうえでも、事前の話し合いというものを大切にしたいものです。
(管理職の教育については、弊社ブログ『組織が機能するための管理職の教育』をご参照ください。)
まとめ
社員の人は、現在の仕事に慣れてくると、新しい仕事を指示されると、半ば抵抗したくなるものです。
同じ仕事をする方が楽だからです。
しかし、本人の成長も考えると、難しい仕事を与えて、一つ上の段階に進んでもらいたいものです。
事前に話し合いをして、育成の一環として指示をするということを伝えた上で実施します。
その後更に難しい仕事でも対応できるようになるでしょう。