社員の採用について、中小企業では、退職者の補充や、業容拡大による増員などの理由で採用活動を行う場合が多く、主に中途採用が中心となります。
中途採用で入社する人たちは、既にかつて勤めていた会社でそれなりの経験を積んでおり、その経験をもとに即戦力として入社することになります。
新しく入社した社員は、戦力として期待され、配属された部署で、その経験にもとづく能力を発揮します。
定年間際の社員
新たに入社した社員が、配属先で期待した通りに活躍してもらえるとよいのですが、必ずしも、思ったようにいくわけではありません。
中には期待したほど活躍できない社員もおります。
期待外れの社員にはそれなりの原因があるのですが、その社員の資質の問題のほかに、その社員を扱う部署の問題もあり得ます。
従って、入社した社員が成果を出せない場合、社員個人にその責任すべてを押し付けるのは、無理な部分もあります。
しかし、このように、入社後期待通りに活躍し、さらに将来を嘱望される人であっても、あるいは不十分な成果しか出せない人であっても、同じように年を取ります。
つまり、組織の平均年齢が上がっていくのです。そのため、会社は後任となるような若い人を採用し、会社を継続的に運営できるようにしていくのです。
しかし、ここで気になるのは、昔中途採用し、現在に至っている社員です。彼らは、入社したときは、若くとも、次第に年を取っていき、次第に定年の年齢に近づいていきます。
世の中が定年延長の方向にあり、さらに再雇用制度があるとはいえ、どこかのタイミングで、自分の肩書や仕事そのものを後任に譲らなければなりません。
会社によっては、役職定年制を導入しているところがあるかもしれません。
また、何もそうした仕組みを導入せず、役席者が定年に達した段階で、慌てて後任に引き継ぐという会社もあるかもしれません。
いずれにしても、後任の人は、これから新たな活躍の場が与えられ、希望が広がります。
しかし、後任に席を譲る人は、先が見えてしまい、今後の会社生活に力が入らないかもしれません。
彼らは過去の仕事など、長かった社会人生活についていろいろ思いを巡らせ、力が抜けてしまうことでしょう。
今後更なる定年延長が考えられますので、会社で勤務する年数が更に延びることになります。
シニア社員に対する対応
シニア社員は定年後再雇用の必要性もあり、そのような面でも、この人たちを含めたシニアの社員に対する対応を考えなければなりません。
ただ、何かしらの方策を検討したとしても、対応は画一的な仕方では難しいでしょう。
シニアの社員は、配属されている部署や、現在行っている仕事に違いがあるため、画一的な方策には限りがあります。
ただ、何かしらのガイドラインとして捉えるのであれば、それなりに有効な部分もあります。
個人別に、本人が前向きになりそうな方策を検討するほうが効果的でしょう。
たとえば、このような方法もあります。現在行っている仕事が、社内から分離できるようなものであれば、その業務を別会社など、別組織に移管し、その組織と新たな取引をするようにするのです。
取引が自社内ですので、すべて組織内で賄うことができます。これでその別組織がおおきくなれば、それに越したことはありません。
場合によって外部に市場を求めることもできます。会社には更なるシニア予備軍が待ち構えておりますので、彼らの受け皿になることもあり得えます。
その他には、何かしらのプロジェクトに関わっているのであれば、そのプロジェクト専属という方法もあります。
そしてそのプロジェクトに籍を移し、最後までその業務を全うしてもらう、といった内容です。
プロジェクト完成後も、その後の経過を見つめ、改善していくということもあるでしょう。
更に、第二の人生として全く違う世界に飛び込んでもらうという方法もあります。
退職金に一定の割合の割増金を支給するのです。もちろん手続き的には、本人の選択ということになります。
こうした方策は、個別対応ということになりますが、相応しい方法を検討するのは、部署内の管理者です。対象者の実績や能力、そして可能性を理解しているのは、管理者の人です。
会社は管理者と共に、方策を検討し、進めることになります。
このようにいくつかの方法を事前に検討し、仕組みとして整えて置き、実際に対象者が生じた時点で執行するようにするのです。
もちろん本人との事前相談も欠かせません。
こうしてシニア社員の人たちの将来に対する道筋をつけ、活性化させることで、会社に勢いをつけます。
“社員のキャリアチェンジについては、弊社ブログ『キャリアチェンジを通じた社員の活性化』のページをご参照ください。”
まとめ
定年を迎える社員を抱える部署では、事前に管理者が相応しい方策を事前に考えておく必要があります。
管理者は会社と共に、ある程度時間をかけて前もって方向性を決定しておきます。
組織を硬直させることなく、会社を成長させるためには、ある程度長期的観点から考える必要があります。