会社には様々な部署があり、それぞれ部署の機能に応じた役割があり、その役割を果たすために努力しています。
それぞれの部署で行う仕事は異なりますが、結果として会社全体が一つの方向に向かっているのです。
最大の成果を出すことができればよいのですが、必ずしもそうとは限りません。
組織の中での個々人の能力の差
しかしながら、実績は構成される社員の人たちの能力によって左右されます。つまり部署としての力量に差が生じるのです。
差が生じるとはいえ、会社として進むべき方向性に間違いがなければ、大きな問題とはならないでしょう。
一つの部署の中で、個々人の能力に差が生じることで、部署としての成果も影響されます。
結果的に能力に多少難のある人に引っ張られてしまい、部署としての成果も思うように上げることができません。
同じことは会社全体にも言えます。
一つの部署が、部署としての能力に見劣りがあり、会社全体の成果にも影響を及ぼすのです。
社員があまり多くない企業であっても、あるいは規模の大きな企業であっても、現場の社員を束ねるのは、現場の管理者になります。
管理者たちを束ね、会社の方針に基づいて率いていくのが部門長であり、幹部社員ということになります。
したがって、幹部社員は会社全体を包括した考え方をもって、自部署の対応が必要になります。
そのような考え方に基づいて行動しないと、会社が本来進むべき方向に進むことができなくなってしまいます。
幹部社員の役割
では幹部社員の役割とは何なのでしょうか。
大きな仕事としては事業の運営ということになります。
そして彼らはそれぞれ必要な部署を任されており、自部門の組織の運営が彼らの仕事です。
したがって、現場の管理職を管理し、部門を統括して自部門が想定通りに機能するようにしていくことが、大切な仕事になってきます。
こうした機能が止まってしまうと、会社が動かなくなってしまいます。
このような話は大企業に通じる話であり、中小企業には関係ないと考えるかもしれません。
しかし、会社におけるそれぞれの機能としての組織は、規模の大小に関係なく存在します。
そして規模が小さければ小さいほど社長にそれが集中するのです。
少しずつ社員が増え、規模が大きくなるにつれて、組織が大きくなり、それぞれの部門を束ねる人が出てきます。
そして社長が持っている機能を幹部社員に移管していくようになるのです。
その幹部社員が、社長の望む働きができなければ、その幹部社員の属する部門が機能しなくなり、会社は立ち行かなくなります。
(社長のアドバイザーについては、弊社ブログ『中小企業における社長のアドバイザー』をご参照ください。)
組織として機能するように仕事をしなければなりません。そのためには、将来幹部になる人への事前の教育が必要です。
幹部候補の育成
ではどのようにすればよいのでしょうか。
幹部候補になる人を、将来の幹部として時間をかけて育てる仕組みをつくる、という話が巷ではよく出ておりました。
そしてそうしたことを実施する会社も多く見受けられます。
ただ、そういうことは規模の大きな企業では可能ですが、中小企業ではなかなかできることではありません。
手っ取り早いのが、そうしたことを経験して、幹部の仕事の実績を上げてきた人を、外部から採用する方法です。
でも、これは大変難しく、会社自体がその入社した新しい幹部の人になじむかどうか、
また、その人の考えを、社員の人たちが理解できるかどうか、など多くの課題が生じます。
それらの課題を想定し、解決策を検討した上で実施することが必要でしょう。
幹部になりたての人や、将来幹部に登用される予定の人に対し、外部の教育会社に依頼する方法もあります。
しかし、中小企業では時間的にも金銭的にもそのような余裕はないでしょう。
中小企業で、このように幹部社員に対する教育を行う方法は、ほかにあるのでしょうか。
たとえば、実践で業務を通じて学んでいく、という方法はどうでしょうか。
でも、間違った方向に進んでしまうと、取り返しがつきません。そのような面では難しいと思います。それでも方法はあるでしょう。
たとえば、難しい課題を与え、それができるように見ていくといったようなことです。
本人にとって、どのようにして進めたらよいかわかりません。
でも、自分なりに調べたり、経験者を探してアドバイスをもらったりなど、それなりに進めていくのです。
また、やったことのないことを行うには勇気があります。しかし、一つ実績を作るとあとはやりやすくなります。
このようにして、実践で進めていき、実績をつくることでその幹部社員は自分のものにしていくのです。
(管理職の教育については、弊社ブログ『組織が機能するための管理職の教育』をご参照ください。)
まとめ
企業幹部の仕事は経営に携わるため、きわめて重要な仕事です。そのためにも、将来を見越して時間をかけて育てる必要があります。
中小企業の場合、あまり時間やコストをかけることはできません。
しかし、その分実践に育成していくのです。ひとつ大きな課題を与え、自ら進め方等を学び自分のものにすると、あとは進めやすくなります。