
規模が小さな会社の場合、一人で何役もこなさないと業務をこなすことができません。
それに比べ、大企業の場合は一人ひとりの仕事は幅が狭いですが、その分奥が深くなります。したがって、それぞれの人たちの仕事は専門的になります。
組織構造上どうしてもそのような形になってしまいますので、やむを得ないところではあります。
大企業は大企業としての業務のやり方があり、中小企業には中小企業の業務のやり方があるのです。
中小企業が一人で何役もこなさないといけないといっても、大企業のように一つ一つの業務に対して深く掘り下げて仕事を行うわけではありませんし、幅広い業務といっても業務をこなせるようになるまでに、長期間要するわけでもありません。
ある程度の時期で仕事をこなせるようになります。
基本的に新しく入社した人は、前任者に教わりながら、また上司のサポートも得ながら仕事覚えていきます。
もちろん本人の努力により一通り仕事ができるようになるまでの期間に差が生じます。
早く仕事を覚え、会社に貢献しようと前向きな考えの人であれば、集中的に覚えようとするでしょう。
そうでない人でも、毎日業務を繰り返すことで徐々に仕事を覚えていきます。
しかし、1年経ち、2年経ち、ひととおり業務ができるようになると、体で業務が覚えられるようになります。
ほかのことを考え、業務に集中しなくても、次第に仕事をこなせるようになります。だんだん新鮮味に欠けてくるのです。
このように同じ仕事していると、どうしてもマンネリ化してしまいます。
そしてマンネリ化するとケアレスミスが生じるなど、注意力が散漫となり、うっかりミスが多くなるのです。
人間ですから、同じことの繰り返しでは、マンネリ化し、だんだんやる気もうせてきますし、何も考えずに淡々と仕事をこなすようになったりします。これはこれで致し方のないことです。どのような組織でもこのようなことはありえることです。
しかし、経営としては、そのままにしておくことはできません。どこかで何かしらの対処が必要となります。
そこで、何か新しいことをしようとしたり、あるいは従来のやり方を変えて新しいものを導入したりしようと考えます。
しかし、それに対して社内から反対の声が上がります。
彼らからすると今までうまく業務が回っているのに、何も無理して新しいものを導入したり、やり方を変えたりする必要がない、ということなのです。
彼らは、新しいことを学ぶのは大変ですし、今のやり方が楽だからそのまま継続してほしいと思っているのです。
でも、それでは、業務に発展性がありませんし、なにより、会社として成長が危ぶまれます。
そうしたことを打破するには、例えば人事異動を行って、社内の別の仕事に就かせてみます。そうすることで、他の人たちの仕事が見えてきますし、他部署の苦労が分かってきます。
今までは、自分が行っている仕事は大変で、他の部署の仕事は楽であると考えていたかもしれません。
でも違う部署の仕事をするようになり、今までの考えが違うということを分かっただけでもだいぶ前進したことになります。
また、異動先の部署の仕事を別の観点から見ることができ、その部署での問題的や合理的でない点もわかるようになります。
そしてその点を踏まえて部署として業務の合理化を図ることができます。このように、工夫を凝らすことで組織を活性化することができるようになるのです。
別に人事異動で他部署にいくだけではなく、自部署内で、他の仕事に就かせるだけでも同じように活性化するのです。
他には何かあるでしょうか。例えば、人事制度を改定するような大きなプロジェクトを行うことで、社内の雰囲気も変わります。
(人事制度に関して、ブログ『中小企業における人事制度づくり』をご参考までにご覧ください)
このように旧態依然としていた組織に変化が生じます。
そして何かしら組織を揺り動かす仕組みを作ることで社内を活性化します。その先には、緊張感をもって仕事に接してもらうという経営者の願いがあるのです。
社員の人たちが緊張感をもって仕事をすることにより、新しい仕事のやり方を考えたり、新しいことにチャレンジするようになったりして、企業文化の変遷の土壌が醸し出されます。
長い目で見ると、企業の持続的成長につながるのです。