会社にはそれぞれ、自社の特徴があります。たとえば、会社の歴史が長いとか、技術面では他社に負けないなど。
それぞれ企業を取り巻く環境が悪化したときなど、自社の長所を活かしながら、不況に耐え、少しずつ業績を改善させ、次の好景気を迎えます。
部署の中の忙しい人とそうでない人
その長所を自社の強みとして、環境が好転したときに、さらに会社を成長させていきます。
このように、会社を取り巻く環境の悪化により、業績が落ち込んだとしても、そこから脱出するために、原点に立ち返り、自社の長所を見出し、それを優位性として成長につなげていきます。
歴史のある企業は、何度もそうした苦境に陥っても、自らを強くしていくのです。しかし、そのためには、自社の強みを知る必要があります。
以外に自社の強みを知らない、あるいは気にしない社員は多くいるのかもしれません。
ところで、このように企業全体をみた場合に、大きく捉えることができますが、会社の中の一つの部署を考えた場合、どうでしょうか。
不況に陥った場合、その一つの部署内で、社員がどのように会社を考え、行動しているでしょうか。
たとえば、人事部門や経理部門などは、会社の景気が悪くなっても、営業部門とは異なり、直接自分の業務とはかかわりがないと考え、普段と同じように行動しているかもしれません。
会社のために、少しでも業務を合理化しようとか、自らの残業を削減しようとか、などの考えが及ぶ人が少ないかもしれません。
もちろん、日頃からそうした問題に前向きに取り組んでいる人がいるかもしれませんが、さほど多くはいないでしょう。
そして、毎回同じ仕事をするのに時間がかかったり、同じ個所で同じようなミスをする人も中にはいたりするものです。
その部署としては、どうしても処理能力のある人に仕事を依頼するケースが増えてしまい、同じ人に仕事が集中してしまいがちになります。
同じ部署の中で、仕事がたくさんあって常に忙しい人と、あまり仕事がなく暇そうにしている人とがいると、部署内の雰囲気も悪くなってしまいます。
忙しい人は、上司がなぜ自分にだけ仕事を回し、他の人に仕事を与えようとしないのか、と不満を漏らします。
管理者による指導
本来であれば、そうならないようにするために、上司は仕事に時間がかかる人の処理能力を向上させるようにしなければなりません。
しかし、仕事の仕方を教えたからといって、その人がすぐに仕事のてきぱき処理できるとは限りません。
人によっては、何度教えて、理解できず、仕事に余分な時間がかかってしまう人もおります。
もちろん手順書やマニュアルを作成し、本人に読んでもらうということも実施するでしょう。それでもうまくいきません。
結局は、その人の認識の問題ということになります。
いくら組織の長、課長とか部長とかが説明しても、本人は総論として理論的には理解できるでしょう。
しかし具体的な作業になると、従来通りとなってしまいます。
総論は理解できても、基本となる意識は従来のままですから、堂々巡りとなってしまうのです。
(受動的な社員の育成ついて、弊社ブログ『受動的な社員が自主的に行動し組織力が向上する』をご参照ください。)
組織の底上げ
とはいえ、組織の長としては、そのまま放置することはできません。その人のせいで部署全体の成果が出ていないのです。
大切なことは、まず、本人自身が固執する従来の考えから脱して、会社のそして上司の考えを自ら考えて理解しようとすることです。
このことは、ちょっとした何かのきっかけで、実現することもあります。
例えば、能力があって、組織として頼りにしている人のそばに、仕事を与えても満足な結果を出せない人を配置し、数日間一緒に仕事をしてもらうのです。
別にあれこれ指示をだすのではく、本人の目で見てもらうことです。
自然と、自分の仕事の仕方と、その人の仕事の仕方の違いが、目で見てわかるようになるでしょう。
そして、なぜそうするのか、自分で理解できるようになります。
その人は、ようやく上司がいっていたことが分かるのです。そうしたら新しい仕事を与えてもしっかりとこなすようになるでしょう。
それがその人のきっかけとなります。
もちろん全員が同じようにすればよいというものではありません。また、そのようにしても、理解できない人もおります。
たまたま一つの例として述べただけであって、人によってやり方は異なります。日々の仕事を通じてその人の特徴を見つけ、その人に合った方法で進めればよいのです。
いずれにしても、何かしらのきっかけを与え、社員の考え方を変えてもらうことで、その後の仕事の仕方に影響を与えることでしょう。
部署内で誰も取り残すことはしないようにし、部署内に安心感を与えます。
そして、それが組織の底上げにつながるのです。
成功事例を社内で共有
このように、一つの部署で大きな課題があり、それを部署全体で解決していきます。
決まったやり方などあるわけではなく、試行錯誤で解決します。そして、その手法を会社で共有するのです。
もちろん、一つの部署で実施したことが、他の部署でも同様に成功するとは限りません。しかし、一つの見本とはなります。
要は、ただ単純に真似をするのではなく、考え方を理解し、自分の部署での方法を考えるということです。
こうした考えたがそれぞれの部署に浸透していくと、更に強い体質の組織になっていくということがいえるでしょう。
このように、各部署の、あるいは個人かもしれませんが、成功事例を会社で共有していくことで、会社に一体感が生じ、良い方向に進むことができるのです。
そして、会社の目標達成につながります。
まとめ
部署内には、成果を出せない社員もおります。
しかし、その人の能力を高めないと、部署としての組織力が高まりません。部署内で協力し、会社の考えを理解してもらうようにします。
その結果を部署内だけでなく、会社全体に広げていきます。経験が共有されるのです。