社員は、日々自分の業務をそれぞれの立場で処理しておりますが、組織全体を見渡すと、社員が日常業務を行う上で、組織の中にはさまざまな問題が生じていることが分かります。
会社が販売する商品が、不良品であったなどという、顧客からのクレームや、会社が提供しているサービスに不具合があり、顧客に迷惑をかけた、といったような、対外的な問題もあります。
また、担当者の事務的な連絡ミス、あるいは資料の事前配付をうっかり忘れていたなどといった内部の業務上のトラブルなどもあります。
組織に内在する諸問題のひとつのハラスメント
このように、少し考えただけでも、会社の中に問題と称されるものは、かなり多く存在することが理解できます。
一般に、組織は問題を抱え、都度解決しながら、目標を達成するために、前に進んでいるのです。
もちろん、簡単な問題であれば、すぐに解決することができ、更に前へ進むことができるでしょう。
一方で、問題が大きすぎて、すぐには解決することができず、その大きな問題抱えながら進まなければならないケースもあります。
問題はそれぞれの組織により、内容も大きさも異なります。
その問題の中の一つにハラスメントがあります。
俗にいうセクハラやパワハラ、マタハラなどが主なものでしょう。
もちろん、それ以外にもカスハラやアカハラなど、世の中には、さまざまなハラスメントがあります。
また、同じセクハラやパワハラでも、仕事にからんでハラスメントに至る場合もありますが、そうではなく、仕事と関係のないところで発生するハラスメントもあります。
(社員の意識改革によるセクハラ防止については、弊社ブログ『社員の意識改革によるセクハラ防止』をご参照ください。)
業務に起因するのであれば、上司が日頃から気を付けておいて、ハラスメントが発生しないように努めることもできます。
あるいは上司からのハラスメントがあると申し出があれば、その上司に注意喚起したり、指導したりすることで、対応ができます。
(管理者のパワハラに対する理解に関しては、弊社ブログ『管理職がパワハラを理解し組織運営を行う』をご参照ください。)
直接業務に起因しないハラスメント
しかし、ハラスメントが業務外で発生するとなると、管理者が目を光らせておいても発生をふせぐことはできません。
部門を超えて、社員同士での嫌がらせがあるとか、部署以外の人からいわれのない誹謗中傷があったとか、部署内部で完結できないハラスメントもあるでしょう。
本人が所属する組織とは関係のないところで、本人がハラスメントにあい、出社できなくなってしまうとなると、本人はいたたまれないでしょう。
例えば、自分が所属する部署の外の人から好き嫌いで対応されたり、考え方や行動が自分たちと違うとのことで、批判され、ハラスメントを受けたりなど、その内容はさまざまです。
やはり、会社もある程度の規模になりますと、社員はグループ化する傾向があります。
自分たちに属さない人たちに対して批判的になりがちです。その批判的感覚がエスカレートするとハラスメントに発展する場合があります。
特にいわれのないハラスメントとなると、パワハラ的になってきます。典型的なパワハラですと、上司あるいは先輩社員が部下に対して、その立ち位置を利用し、威圧的に強く当たってしまいます。
ただ、それが横の関係で、距離感がある人からのハラスメントとなると、上司とは違う意味で、神経に刺さってしまうのです。
ある意味上下関係よりやりにくいかもしれません。
本人は出社できなくなりますので、本人はもちろん、会社にとっても損失となります。
業務に起因しないハラスメントへの対応
このように、ハラスメント種類によって、業務とは関係のないところで発生し、上司が対応しきれないものもあります。
また、基本的に社員とはいえ、人間ですので、組織やその会社の文化に馴染めない人もおります。
では、このようなハラスメントに対し、どのようにして本人の不安を和らげればよいのでしょうか。
こうしたことは、業務と関係ないところで発生しますので、業務と切り離して考えてしまいます。
しかし、それを業務の中に取り込んでしまい、日常業務の中で考えることで、それなりに方策が見出すことができます。
例えば、対象となる人の業務を多少変更し、社内の人の接点を減らすようにします。そうすることで、部署外の人たちからのハラスメントは多少減るでしょう。
また、対象となる人が所属している部署により、できないかもしれませんが、社外の人の窓口担当にするといったことも一つの方法です。
それ以外にも、ハラスメントを生じさせる方にも目を向けます。
ハラスメントを生じさせる人たちは、忙しそうにしていても、実際には少ない業務量で忙しそうにふるまうケースが往々にしてあります。
従って、その人たちに、更に業務を増やしてあげます。そうすることで、心理的に余裕がなくなり、他の人たちを見ることができなくなります。
そのうち、ハラスメントの対象となった人に対し、興味がなくなってくるでしょう。
やはり、時間に余裕があると、余分なことを考えてしまうのです。こうすることで、対象者の不安はだいぶ和らぐでしょう。
とはいえ、ハラスメントにより、その内容が異なりますので、必ずしも正解があるわけではありません。
例えば、マタハラであれば、同僚からの嫌がらせも考えられ、その場合は上記の方法なども考えられます。
また、上司からの嫌がらせであれば、その上司の資質も考慮せざるを得ないので、別の考え方が必要となるでしょう。
このように、状況に応じた対応が求められます。
(マタハラ対策については、弊社ブログ『マタハラ対策を浸透させリスクを回避する』をご参照ください。)
更に、他の対応策として考えられることは、社員が全員同じ価値観を共有するようになることが挙げられます。
それには、経営理念を社内に浸透させるのがよいでしょう。社内研修を定期的に実践し、少しずつ、価値観を共有します。
そして、少しずつ社内に対するマイナスの文化を薄め、新しい文化を創生しているようにします。
そうすることで、社員の意識も会社が進もうとしている方向に近づいていきます。(会社の方向性と社員の価値観を合わせることについては、弊社ブログ『中小企業が会社目標と社員のベクトルを合わせる』をご参照ください。)
次第にハラスメントしようという気が起きなくなることでしょう。
まとめ
直接業務に起因しないハラスメントは、社内で発生する可能性があります。対象となる人の上司に任せるのではなく、会社として取り組むことが大切です。
対象者本人の業務を変えたり、ハラスメントを発生させる側の業務を増やし、余裕をなくさせたりすることで、だいぶ減ることでしょう。
なにより、経営理念を浸透させ、価値観を共有させることで、こうした諸問題を減らすことができます。